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投石機のひもは、押せない

『ぶん投げ工房』は、投石機(トレビュシェット)を自分で組み立てて、どこまで飛ばせるかを競うゲームです。おもりが落ちる力でアームが回り、アームの先のひもが玉を振り回して投げます。この動きは、見た目だけでなく、本物と同じように力を計算して動かしています。

長いひもで起きた、なぞの動き

ひもを長くして、支柱を低くすると、おかしなことが起きました。玉が一度も浮かないまま地面をすべっていき、アームが回りきったところで、地面から勢いよく飛んでいくのです。投げているというより、地面の上を押し出しているような動きでした。

原因:ひもを「棒」として計算していた

計算の中で、ひもは「長さの変わらない棒」として扱っていました。ふつうに投げる時は、ひもはずっとピンと張っているので、これで問題ありません。ところが、ひもが長くて支柱が低いと、アームが上を回って前へ下りていく時に、ひもが玉を前へ「押す」形になっていました。本物のひもは、引っぱることはできても、押すことはできません。

ひもが、たるむようにした

そこで、ひもにかかる力が押す向きになったら、ひもが「たるむ」ようにしました。たるんでいる間、玉は自分の勢いで動き、地面の上ではまさつで止まっていきます。そして、ひもがもう一度ピンと張った時に、グイッと引っぱります。この時、玉とアーム(と台車)の間で勢いがやりとりされるように計算しています。

直したあとは、ひもが長すぎて支柱が低い組み立てだと、玉は地面から上がらず、アームだけが空振りします。結果には「玉が浮かなかった」と出て、ひもを短くするか、支柱を高くするようにアドバイスが出ます。ランダムに300通りの組み立てで直す前と比べると、結果が変わったのは8通りだけで、どれも数m〜20mくらいしか飛ばない組み立てでした。

本物の投石機を調べてみた

このあと、本物の投石機についても調べました。おもしろかったのは、本物は人が手で玉をはなすのではなく、アームの先のピンからひもの輪がスルッと抜けて飛ぶことです。ピンがまっすぐだと早く抜けて高く、曲がっていると遅く抜けて低く飛びます。ほかにも、おもりは投げる物の約100倍が目安とされていること、伝説の巨大投石機「ウォーウルフ」(1304年)は約150kgの石を200m以上飛ばしたと言われていることなどを知りました。ウォーウルフの看板は、ゲームの畑の200mのところに立てました。

車輪を、本当に転がしてみた

いちばん気になったのは車輪です。車輪付きの投石機は、投げる時に台ごと少し前へ転がるので、おもりがまっすぐ落ちて遠くへ飛ぶそうです。車輪を付けたら25%くらい強くなったという作り手もいました。ゲームの投石機も台車に乗っていましたが、車輪は飾りでした。

そこで、台車が前後に動けるように計算を作り直しました。「車輪:ころがす」にすると、投げる時に台車が1mほど前へ転がり、飛ぶ距離は組み立てによって12〜27%のびました。調べた「25%くらい」と、だいたい同じです。そのかわり、アームにかかる力も大きくなるので、ギリギリの組み立てだと折れてしまいます。よく飛ぶけれどこわれやすい、という選び方になりました。

スローをやめて、ビュンと

最初は、はなすタイミングをねらいやすくするために、玉が浮いたらスローになるようにしていました。でも、投石機の気持ちよさは「ビュン」という速さです。思い切ってスローをやめて、最後まで本物の速さで回すようにしました。そのかわり、画面の1コマ(約0.016秒)の間にタップしても、タップした瞬間まで計算を進めてから玉をはなすようにして、指のタイミングがそのまま記録に出るようにしています。

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